【詳しく解説】シンプリストとは?ミニマリストとどう違う?

ライフスタイルも多様化している現代、自分に必要な最低限のモノで暮らす「ミニマリスト」の生活スタイルがメディアでも注目されるようになり、

その後、ミニマリストと似たような生活を送る「シンプリスト」という言葉も耳にするようになってきました。

その背景には、”モノと情報にあふれた時代”のなかで、IT技術やサービス(シェアリングサービスやUber Eatsなど)が進化し、モノが無くても暮らせる時代になったことがあげられます。

シンプリストもミニマリストも、モノをできるだけ持たないという意味では共通しますが、「シンプリスト」はミニマリストとは少し異なる考え方を持っています。

この記事では、ミニマリストとシンプリストの生活スタイルや生き方、考え方の違いについてご紹介しながら、両者の特徴をわかりやすくまとめています。


「ミニマリスト」や「シンプリスト」に憧れるけど、その違いがよくわからない

ミニマリストはなんとなく聞いたことがあるけど「シンプリスト」ってどんな人?

と思っている方には、特にオススメの内容です。

ミニマリストとシンプリストの違い

言葉のイメージと定義の違い

ミニマリストと聞くと、皆さんはどんな人をイメージするでしょうか? 

こんなイメージはありませんか? 

『ミニマリストって、まるで捨てることを趣味とする、何もない部屋に暮らす変わった人・・・』みたいな(笑)

皆さんが持つミニマリストのイメージって、だいたい次のような感じではないでしょうか。

ミニマリストのイメージ

  • モノを極限まで捨てる人
  • 殺風景でなにもない部屋でひっそり暮らす人
  • 断捨離や整理整頓がうまい人
  • ノマドワーカーのフリーランス
  • ミニマリストしぶさん、「人生がときめく片づけの魔法 」のこんまりさん


しかし、実際のミニマリストの本質はそうではなくて、「身の回りを必要最低限の(大切な)モノだけに絞り、快適に生活できるテクニックを持つ人」と定義されます。

もともとのミニマリストの由来は、1960年代のアメリカの美術・建築様式等の分野の「ミニマリズム(minimalism)」という芸術手法を表す言葉からきています。

その手法が生活面でも反映され出したのは、モノをたくさん持つアメリカの富裕層からでした。

やがて彼らの思考の中に「モノの量より質を求める」という考え方が生まれ、それが世間でも徐々に広まり、

「必要最小限のモノだけで、ライフスタイルを楽しむ人=ミニマリスト」と一般的に呼ぶようになりました。

このように、ミニマリストはアメリカで生まれた言葉ではありますが、歴史を振り返るとその根本的な思想は、禅の影響で生まれた日本の美意識の1つ、わび・さび(侘・寂)に通ずるものがありますね。

参考(Weblio英和辞典)

ミニマリスト(英:Minimalist)
Minimalistの語源:Minimal+-ist(-istは、「…する人」を指す)
ミニマル(英: minimal)の意味:最小(限度)の、極小の、極微の、
言葉の由来:ミニマリズム 《単純簡潔・非個性化によって芸術効果を上げようとする芸術手法》 

一方、「シンプリスト」についてはどうでしょうか?

ミニマリストという言葉がメジャーになってきてから、「シンプリスト」という言葉も少しずつ知られるようになってきました。



シンプリストからイメージできる言葉をいくつかあげるなら、以下のようなイメージではないでしょうか。

シンプリストのイメージ

  • モノや装飾が少なく簡素なスタイル
  • 統一感がある
  • 色味が少なくナチュラル
  • 地味(派手の反対)

多くの解釈として、シンプリストは、「モノの数には関係なく、自分の価値観で必要なモノをシンプル(単純化)にして、統一感のある暮らしを実践している人」のことを指します。

モノをできるだけ持たないようにするところはミニマリストと似ていますが、明らかに、モノに対する考え方が、根本的に違うようです。

参考(Weblio英和辞典)

シンプリスト(英:Simplist)

Simplistの語源 (Simplist)=Simple+-ist(-istは、「…する人」を指す)

シンプル(英:Simple)の意味:簡単な、やさしい、単純な、込み入ってない、基本的な、簡素な、凝ってない、地味な

言葉の由来:シンプリズム《対訳過剰に簡素化する行為、(虚偽表示になるほどの)極度の単純化

では、具体的にミニマリストとシンプリストの”モノに対する考え方や生活スタイルの違い”を考察しながら、シンプリストについてさらに詳しく探っていきたいと思います。

モノに対する考え方の違い

ミニマリストのモノに対する考え方

まずは、ミニマリストのモノに対する考え方や姿勢をまとめると、次のようになります。

ミニマリスト

  • いちばん大切なモノを最優先にして、その障害になるモノはすべて排除する
  • モノの整理整頓・収納で、ミニマリズムは実現しないと考える
  • モノに執着せず、少ないモノで暮らすと、心豊かに自分らしく生きられる

少し抽象的なので、わたしなりに説明を補足しますと、

<いちばん大切なモノを最優先にして、その障害になるモノはすべて排除する>

ミニマリストは、身の回りのもので不要なモノは、可能な限り処分していきます。

そのやり方は様々ですが、モノの数、量が少なければ少ないほど、モノにかける時間が減るため、時間が増えるし、無駄な支出も減るという考え方です。

<モノの整理整頓・収納で、ミニマリズムは実現しないと考える>

断捨離は、片付けの手法であると思われがちですが、本来は「不要な物を断つ、捨てる、物から離れる(手放す・執着しない)」という生き方を目指すという意味合いもあります。

その※断捨離に近い考え方を取り入れているのがミニマリストとも言え、上手に整理・整頓・収納をしたとしても、モノへ執着心は取り去られていないので意味がないという思考です。
断捨離 | やましたひでこ公式サイト

<モノに執着せず、少ないモノで暮らすと、心豊かに自分らしく生きられる>

先ほどの話とつながりますが、少ないもので暮らすことにより、時間の余裕もできて、本当に大切なモノに集中できるようになる、

つまり自由で豊かな暮らしを手にいれることができると考えるからです。

シンプリストのモノに対する考え方

シンプリストの場合は、ミニマリストほど極端にモノを減らすことはなく、モノの数よりもモノの統一感・デザイン性、それが自分にとって快適かということにこだわります。

そのため基本的には以下の点がシンプリストの考え方と言えるでしょう。

シンプリスト

  • 気に入った優先順の高いモノを取捨選択し、それを長く大切に使う
  • モノに対する執着心はさほどなく、モノを整理しシンプルにする
  • モノの数には拘らず、それが自分にとって快適なモノかを重視する

ただ、自分にとって不要なモノは極力持たないというところはミニマリストと共通するため、区別しづらい部分もありますが、基本的には自分が気に入ったモノであれば、排除せず自分の身の回りに置くことを選びます。

次は、それぞれのライフスタイルの違いについてもみていきましょう。

ライフスタイルの違い

ミニマリストの部屋

殺風景な何もない部屋やキッチン、寝るのはベッドではなくこじんまりと三つ折りに畳まれた寝具、といった「必要最小限のモノで生活する人」というイメージが強いミニマリストですね。

しかし、本来の彼らの目的は、余計なモノを持たないことで、自分が本当に求めている心の豊かさを手に入れることです。


例えば、下の画像の左のキッチンは、白を基調にしたモダンなデザインで一見ミニマリスト風ですが、右側のキッチンの方がよりミニマリストに近寄ったキッチンスタイルといえるでしょう。

キッチンのカウンタートップにはできるだけモノを置かない、つまり持たない主義がミニマリストなのです。

右側のキッチンカウンターには余計な雑貨が置いていません。これがミニマリスト流です


ミニマリストは、モノが増えることを嫌い本当に必要なモノしか買いません。そのため当然消費をすることも少なくなり、お金も貯まりやすく、買い物に対して費やする時間も節約します。

なんとなくスマホでSNSを見ながらポチっとお買い物、なんてことはおそらく無いと思われ、その時間を、自分の夢を実現するために使うことによって、お金では買えない幸せ(価値)を生み出していきます。

それでは、シンプリストのスタイルはどうでしょうか?

シンプリストの部屋

先ほどの語源「Simple」の持つ「単純・簡単・素朴・純粋」という意味合いからも分かるように、シンプリストとはシンプルで簡素な暮らしを実践している人をさす言葉です。

シンプリストの暮らす部屋の例(建築現場の廃材でリメイクしたデイベッド)

シンプリストにとって、モノの数は拘らず、持ち物はある程度は制限しますが、ミニマリストほど不要なモノを排除はしません。

また、自分にとって大切なモノは、極力捨てずに再利用をしようとするのもシンプリストです。

写真は仕事場兼自宅のリビングですが、家具作家さんにオーダーで作っていただいたデイベッドは、一台3役こなします。

狭い部屋でも圧迫感がないようにマットレスはセミシングルサイズで作成しました。

このように、シンプリストの部屋は、日常に必要な生活アイテムは整理し、すべて簡素化して部屋全体に統一感を持たせる工夫をします。

インテリアや色使いにこだわるのもシンプリストの特徴ですね。


下の画像は、シンプリストの特徴をとてもよく表した部屋のイメージと言えます。

デスクの上の2つのフラワーベースには統一感があり、他の家具や全体の部屋のイメージともうまくコーディネートされています。

おそらくミニマリストさんの部屋なら置かないはずのモノですね(笑)

シンプリストのワークスペース(例)


ミニマリストとシンプリストを知るおすすめ書籍2選

ミニマリストを知るおすすめ書籍

私が初めて「ミニマリスト」という言葉を知ったのは、今から7年ほど前、時間つぶしで立ち寄った中目黒の小さな本屋さんでした。

「より少ない生き方 モノを手放して豊かになる(ジョシュア・ベッカー著)」という、この可愛らしい水色の表紙の絵とタイトルに惹かれ、つい手に取ってパラパラとめくり出しました。

その瞬間に目に入ってきた言葉の衝撃は、今でも鮮明におぼえています。

"ミニマリズムの最大の利点は、自分にとっていちばん大切な夢に集中する余裕が生まれることだ。  
しかしそれだけでなく、自分でも気づいていなかった情熱を発見できることである"


この本に書かれている通り、ミニマリストはただモノを捨てるだけが目的ではなく、その先にある自分自身の大切な夢を実現することが本来の目的だとしています。


この本は、実際の著者自身や実際にミニマリストになった人たちの体験を交えながら、少なく生きるための具体的な方法とメリットなどを紹介されており、

暮らし方、生き方について”ハッ”とするような発見がある、とても読みやすい本です。

内容をまとめると以下の3点がポイントになっています。

✅モノがありすぎると、幸せから遠ざかってしまう理由
✅ミニマリズムを実践する具体的な方法 と維持する方法
✅より少ないもので生きることの本当の目的

気になる方は、是非一度よんでみてください。もしミニマリストになりたいと少しでも思っていらっしゃるなら、とても参考になる本だと思います。

この本をシンプルにわかりやすくまとめた動画がYoutubeで公開されています。(参考:サムの本解説ch【14分で解説】より少ない生き方 ものを手放して豊かになる」」)


そしてもう一冊。日本人のミニマリスト、佐々木典士さんが書かれた本で、「ぼくたちにもうモノは必要ない。」

業界ではあまりに有名な本なので、ミニマリスト・シンプリストを目指そうとしている方なら、一度はご覧になったことがあるかもしれません。

この本は、ミニマリズムについてわかりやすく紹介しながら、モノがどんどん増えてしまう理由、それを手放して身軽に生きる方法を解説してくれる本なので、ミニマリズムを知る最初の1冊目としてもおすすめです。

ぼくたちに、もうモノは必要ない。増補版
佐々木典士(著)

また、この本をシンプルにわかりやすくまとめた動画もYoutubeで公開されています。(参考:サムの本解説ch【17分で解説】ぼくたちに、もうモノは必要ない。」)

シンプリストを知るおすすめ書籍

シンプリストを知る上で、非常に参考になる書籍が、Tommyさんの「シンプリスト生活」という本です。

私の日頃の生活の中で、バイブル的に読ませていただいている大好きな本です。彼の生活スタイルには共感するところも多く、わたしの憧れのシンプリストさんでもあります💕

シンプリスト生活 (BUSINESS LIFE) 単行本 Tommy(著)

そして、もう一冊のおすすめがコチラ、感性のある人が習慣にしていることです。

感性のある人が習慣にしていること(SHOKO 著)

一見、シンプリストと関係がない書籍のように見えますが、あるあるです。

この本の中身は、「感性」は、習慣によって身につけられるもので、自身の暮らしを見直し、自分自身の価値観で「物ごと」を選択できる「感性」の高め方について綴られています。

ポイント

  • 自分のことがよくわかっていて、自分の価値観で選択できる
  • 人の繊細な気持ちに理解が示せて、人間関係を主体的に築ける
  • 自分に必要なものと不必要なものが判断でき、決断をくだせる

まさに、感性ある人とは、「シンプリスト」そのものだと思います。

わたし自身も、シンプリストとして日々の暮らしで意識している習慣です。

ミニマリストの特徴

まずは、ミニマリストの特徴を、今までのおさらいも兼ねてまとめてみました。

ミニマリストの特徴

  • 必要最低限のものだけでシンプルに生活する
  • 捨てづらいモノでも処分できるテクニックを持つ
  • モノに執着せず、モノ以外に価値を見出し心豊かに暮らす
  • 自分の価値観で、モノを選択できる(優先順位を理解している)

ミニマリストは、実はとてもわかりやすい生活スタイルをもつ人ですね。

おそらく生活空間は、普通の人の想像以上に少なく、不便ではないの?と聞きたくなるくらいかと思います。

そこの不便さでさえ、快適に変えるテクニックを身につけているので、彼らにとっては十分満足なはずです。

不要なモノを徹底的に排除することにより、モノに対して費やする時間やお金が圧倒的に少ないので、それを別のやりたいことに使うのがミニマリストの生き方です。

共感できるところも多々ありますね。

シンプリストの特徴

旅をしたり、何かを学んだり、自分自身の感性を磨くことはシンプリストにとってかけがえのないリラックスの時間です。

 次に、シンプリストの特徴のまとめは以下になります。

シンプリストの特徴

  • 極力モノは増やさず、整理しシンプルに暮らす
  • 身の回りのモノは、デザイン・色・素材にこだわり、統一感を持たせる
  • 自分にとって大切なモノは、極力捨てずに再利用もする
  • モノだけではなく時間とお金の使い方も、シンプルに整理できている
  • 自分の価値観で、モノを選択できる(自分の好みを理解している)
  • 人間関係や、人との付き合いも大切にする


ナチュラルカラーのシンプルな色でインテリアを統一したり、お気に入りのモノで部屋がスッキリと見えるよう上手くコーディネートします。

快適で心地よい空間を創りを得意とするのも、シンプリストさんが多いですね。

ただ、それができるのは、自分の「好き」がきちんと整理されているから。

そのため生活スタイルも単純化しやすく、統一感を作りやすくなるというわけです。

センスとか知識とかというより、まずは自分の好きを整理し理解できているかどうかがポイントになります。

また、モノだけではなく、シンプリストは暮らしの中の体験や人とのお付き合いも大切だと考え、そこには時間もお金も躊躇なく費やします。

そのため、物事も(仕事も)できるだけシンプルに考え、複雑にならないように日頃から心がけているのがシンプリストです。


ただ、シンプリストだからといって、常に毎日ものごとをシンプルに考えて過ごすというのはけっこう難しいことですね。

わたし自身も日々葛藤を繰り返しながら、自分らしいシンプルリストライフを模索している最中です。

最後に近づきましたので、Appleの創業者である、あのスティーブ・ジョブズ の名言をここに書き添えたいと思います。

”シンプルであることは、複雑であることよりもむずかしいときがある。物事をシンプルにするためには、懸命に努力して思考を明瞭にしなければならないからだ。 だが、それだけの価値はある。なぜなら、ひとたびそこに到達できれば、山をも動かせるからだ。 スティーブ・ジョブズ”

まとめ


「ミニマリスト」と「シンプリスト」の根本的な考え方の違いから、「シンプリスト」についての理解が少しは深まったでしょうか?

どちらがいいとか悪いとかではなく、自分自身がどのようなスタイルで暮らしていきたいかということだと思います。

ある部分は、ミニマリスト的なところも取り入れながら、シンプリストであるでもいいですし、その逆もしかりですね。


ストレスも多く情報過多な現代社会の中で、「シンプリスト」の生活スタイルから、モノに対する考え方だけでなく、生きていく姿勢なども学ぶことが沢山ありますよね。

断捨離についてもそうですが、「ミニマリスト」の生き方・暮らし方が注目されるようになり、"モノを減らす"こと自体が価値があるように思われがちでしたが、

これからは、"モノを減らす"ことだけに注力するのではない、「シンプリスト」のナチュラルな生き方・暮らし方が、より今の時代にあっているのかもしれませんね。

この記事が、ご自身の暮らし方や生き方をより良いものにしていくきっかけになれば嬉しいです。

シンプリスト Roco

  • この記事を書いた人

Roco

40代から派遣と副業のWワークで生計をたてる独身シンプリスト。WEBデザイン&サイト運営が副業の収入源。ブログでは、好きを仕事にしながら、ミニマリズムを実践し、自由とお金を手にいれるライフスタイルについて発信中。

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